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2014年1月18日掲載

丹羽 諭   Satoshi Niwa ルポルタージュ
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 武蔵国カメラ風土記28 埴輪のポートレート 熊谷・深谷・本庄編
 Portrait of Haniwa   Kumagaya, Fukaya and Honjo edition   New Work


埼玉県の古墳は行田市の「さきたま古墳群」が代表格だが、熊谷、深谷、本庄市にも大小数多くある。宅地や畑になった所も多いが、それでもまだまだ多くの古墳が残っている。

特徴のある埴輪も出土した。特に人物埴輪の熊谷市(旧江南町)の「踊る埴輪」と、本庄市、前の山古墳の「笑う埴輪」が知られている。

現在、踊る埴輪の実物は上野の東京国立博物館に、笑う埴輪は本庄市歴史民俗資料館に展示されている。この笑う埴輪はフランスのパリにある日本の国際交流基金が運営する「パリ日本文化会館」の、2012年「笑いの日本美術史~縄文から19世紀まで~10月3日から12月15日」に出展されて話題を呼んだ。当時、上田清司埼玉県知事もこのことを喜んでブログに書いている。

埴輪は古墳時代の風俗、習慣を伝える貴重な文化財で、歴史が好きな写真家には絶好の被写体だ。その表情も豊かなはずだ。そこで熊谷市と深谷市の教育委員会にお願いして保管庫の埴輪をも撮影させてもらった。本庄市では資料館でそのままガラス越しに撮影した。

使用カメラ: ニコンD800. レンズ: FX24-85mmVR, 24-120mmf/4, マイクロ60mmf/2.8, マイクロ105mmf/2.8, 70-200mmf/4, 70-200mmf/2.8.
(一部のカットを除いてISO 6400で撮影)
参考:埴輪は下記施設で見学出来る。

熊谷市立江南文化財センター
http://www.city.kumagaya.lg.jp/shisetsu/koukyo/bunka/konan_bunkazai.html

深谷市川本出土文化財管理センター
http://www.city.fukaya.saitama.jp/kawamoto_bunkazai/

本庄市立歴史民俗資料館
http://www.city.honjo.lg.jp/kanko_bunkazai/rekishi/1380687108184.html


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各作品の著作権はすべて撮影者に帰属します。
二次使用は固くお断りいたします。




01-15 熊谷市「江南文化財センター」
    熊谷市千代329



01 展示室 古墳は熊谷市で現存、消滅を含めておよそ1,000基。埴輪、土器など多数出土した。

02 桂甲武人埴輪 熊谷市冑山地区大境古墳群。鴻巣市の生出塚埴輪窯跡で製作したと推定され、ここの埴輪は南関東の各地で出土しているという。

03 顔部分のアップ

04 桂甲武人埴輪 熊谷市(旧江南町)野原地区八幡神社付近の野原古墳群(県選定重要遺跡)。踊る埴輪もここで出土した。

05 盾持武人埴輪 頭に笄帽を被っている。熊谷市(旧江南町)千代地区権現坂埴輪窯跡群。県内最大規模の埴輪製作所だったと見られる。

06 盾持武人埴輪3体 ガラス越しに撮影。熊谷市上中条地区中条古墳群女塚1号墳。

07 06右側の盾持武人埴輪 高さ76cm。頭には笄帽を被り、顔の両側に垂れ下がっているのは「下げ美豆良」と呼ぶ当時の男性の髪型。

08 06左側の盾持武人埴輪 独特なヘアスタイルで鉢巻姿である。

09 冠帽の男子像 中条古墳群女塚1号墳。

10 冑を被った武人像 首飾りを付けている。中条古墳群女塚1号墳。

11 右手に椀を持つ女子像 4の野原古墳群出土。

12 頭部のみの人物埴輪 04, 11と同じ野原古墳群。

13 鹿形埴輪 上半身のみの出土。馬や猪などの埴輪もある中条古墳群女塚2号墳。

14 顔の部分のみ出土 能面のようだ。熊谷市(旧妻沼町)の飯塚古墳群。

15 ガラスケースの「踊る埴輪」 実物は上野の東京国立博物館にあるため、これはレプリカ。5の権現坂埴輪窯跡群で焼かれたと推定され、葬送の場での歌舞を表したと考えられる。

16-28 深谷市川本出土文化財管理センター
    深谷市菅沼1019



16 頭巾の男子像 首には飾りを付けている。深谷市西田地区原ヶ谷戸遺跡。遺跡は深谷市全体で現存、消滅を含めておよそ740箇所。

17 二又の被り物をした男子像 深谷市下手計(しもてばか)の渋沢栄一記念館建設工事に伴って発掘調査をした西浦古墳群の出土。

18 琴を弾く男子像 この像も二又の被り物をしている。古代社会で琴は神聖な楽器のひとつに位置付けられ、琴を弾く男子の埴輪は各地で出土している。18~23の6体の人物埴輪は深谷市岡の白山古墳群から出土し、深谷市指定文化財。

19 壷を頭に乗せた女子像 この19~23の女子像は巫女と見られる。白山古墳群。

20 椀を手にした女子像 白山古墳群。

21 右手に小壷を捧げ持つ女子像 首には勾玉の首飾りがある。白山古墳群。

22 土器を差し出す女子像 白山古墳群。

23 拍手を打つ女子像 白山古墳群。

24 両手をかかげる女子像 深谷市原郷、木の本古墳群の西島遺跡。深谷市指定文化財。

25 女性の頭部の埴輪 深谷市上野台の割山埴輪窯跡。ここでも埴輪が焼かれていた。

26 島田髷の女子像 深谷市岡四十塚古墳群。

27 男子像 深谷市普済寺遺跡。

28 馬形埴輪 17と同じ深谷市下手計(しもてばか) 西浦古墳群。

29-37 本庄市「歴史民俗資料館」
    本庄市中央1-2-3



29 笑う盾持人物埴輪3体 本庄市小島「前の山古墳」から出土 (市指定文化財)。本庄市では平成25年7月時点で622基(現存271消滅351)の古墳が確認されている。

30 笑う埴輪

31 笑う埴輪

32 笑う埴輪

33 男子人物埴輪 本庄市小島2丁目の山ノ神古墳。

34 女子人物埴輪 本庄市中央3丁目の関根古墳。

35 男子人物埴輪 本庄市小島の三杢山8号墳。

36 男子人物埴輪 本庄市日の出・東台地区の塚合古墳群。

37 琴を弾く男子人物埴輪 本庄市東五十子田端屋敷の東五十子23号墳。

38-40 遺跡3個所



38 お手長山古墳 深谷市岡(市指定史跡)。墳丘に天手長男(あめのたながお)神社が鎮座する。周辺には四十塚古墳・白山古墳(現況は宅地)、浅間山古墳(浅間神社・市指定史跡)、虎稲荷古墳(虎稲荷神社・市指定史跡)などが集中している。

39 木の本古墳群第1号墳 深谷市原郷。原郷から東方にかけて直径20~30mの円墳が11基現存する。規模不明の1基を含めて計12基が市指定史跡で県選定重要遺跡でもある。

40 籠原裏遺跡群 熊谷市新堀。JR高崎線籠原駅北口りそな銀行の隣での発掘風景(撮影2014年1月8日)。河原石積の小さな石室が二ヶ所出土した。この原稿を書いている1月15日現在、副葬品は出土していない。作業は18日までに終了予定。

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