埼玉県川口市の岩槻街道に面して大正12(1923)年に竣工した和洋折衷の「旧田中家住宅」がある。この年、関東大震災が起きた。説明によると、イギリス式に煉瓦を積み、化粧用の煉瓦を貼った木骨煉瓦の三階建洋館で、震災に耐えた。昭和9(1934)年に数寄屋造りの和館を増築、茶室も備え、のちに和風庭園をこしらえた。
田中家は明治の頃から味噌の醸造と販売に始まり、材木商をも営み、現在は食品、自動車、不動産、物流、ホテル経営などのグループ会社を経営して今日に続いている。4代目の田中徳兵衛が、県会議員や貴族院多額納税者議員を勤めて来客が多く、その応接にこの家を建てたと言う。
材木を商っているため、建材にこだわり、費用は当時の金額で18万円、現在に換算して2億5千万円を要した。特に煉瓦はわざわざ専門の職人に建築現場の近くで焼かせたというからその熱意は半端ではない。今、建物は国登録有形文化財の指定を受け、川口市の文化財センター分館として運営されている。(埼玉県川口市末広1-7-2)
使用カメラ:ニコンD800, D610, D7100. レンズ:FX 16-35mmf/4G, 28-300mm f/3.5-5.6G, DX 18-300mmf/3.5-6.3G VR
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