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2015年2月2日掲載

丹羽 諭   Satoshi Niwa ルポルタージュ
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 武蔵国カメラ風土記36 遠山記念館(旧遠山家住宅)  New Work
 Toyama Memorial Museum in Kawashima Town


埼玉県川島町の国登録有形文化財「遠山記念館」は、説明によると、日興証券の創立者、遠山元一(明治23(1890)年~昭和47(1972)年)が、故郷に母の住まいをと、2年7ヶ月をかけて昭和11(1936)年に完成させた住宅だ。陸軍の青年将校らによる二・二六事件が起きた年である。当時の日本は世界恐慌の影響で経済が停滞してとりわけ農村はどこも困窮の極みにあった。その中で当時最高の建築技術と良材を使って建てた伝統的日本家屋で、建設は地元経済に大いに貢献したに違いない。

戦後、母が亡くなり、日興証券の迎賓館として使用されたが、遠山は建物の価値を考え保存のために財団法人「遠山記念館」を設立、昭和45(1970)年から一般公開している(現在は公益財団法人)。遠山が収集した11,000点にも及ぶという美術品も展示、自分に知識はないが、訪れた時、敷地内美術館に伊万里の柿右衛門様式の鉢、中国宋時代の焼き物の人形などが展示されていた。

建物は趣の異なる東棟、中棟、西棟の3棟で構成、畳敷きの渡り廊下でつながり、表玄関がある茅葺の東棟は農家風で居間に囲炉裏がある。中棟の書院造りの大広間は接客に使用し、2階に洋室がある。2階は常時公開をしていないため、今回は撮影していない。

西棟は数寄屋風造りで仏間や茶室がある。茶室の床の間に江戸時代の御三卿のひとつ、田安家三代の徳川斉匡(なりまさ)が福寿草を描き、老中の松平定信が和歌を添えた掛軸があった。すべてが文化財だった。

なお、記念館では今月2月14日(土)~3月15日(日)「雛の世界」展を開き、大広間では遠山が長女の初節句の祝いに揃えた雛人形を展示する。今回の撮影は受付で許可を得、このWeb-ProPhoto写真展への出展もあらためて許可を申請して掲載した。 (埼玉県比企郡川島町白井沼675)
参考Webサイト:遠山記念館 http://www.e-kinenkan.com/

使用カメラ:ニコンD800, D610. レンズ:FX 16-35mmf/4G, 28-300mm f/3.5-5.6G

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各作品の著作権はすべて撮影者に帰属します。
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01 田園の中の記念館

02 記念館前の蓮池 夏には蓮の花が一面に咲く。

03 欅の長屋門 重厚な造りに圧倒される。

04 外塀 長屋門も塀もすべてが指定文化財。

05 美術館

06 美術館のステンドグラス

07 色絵鳳凰梅文鉢 17世紀の江戸時代前期、伊万里柿右衛門様式の鉢。

08 五彩人物像(宋赤絵人形) 12-13世紀の中国の磁器。日本では一般に「宋赤絵」と呼ばれるとか。

09 新古今集和歌巻 江戸時代、寛永年間の書。

10 表玄関

11 重厚な茅葺の屋根

12 玄関わきの座敷

13 畳敷きの廊下

14 囲炉裏の居間 天井は網代天井で梁や柱は欅。

15 内玄関の梁 囲炉裏の居間わきに内玄関がある。

16 大広間 18畳の大広間。ここで賓客の接待をした。

17 床の間 遠山の書が飾られていた。床柱は「北山杉絞丸太」という最高級品だとか。床の間は全部で8か所あるという。

18 書院欄間の文様

19 丸太の梁 一本をまるごと使用。

20 ガイドの解説

21 渡り廊下

22 竹で編んだ格子窓

23 仏間前の座敷

24 茶室の掛軸 江戸時代、御三卿の田安家三代、徳川斉匡(なりまさ)が福寿草を描き、松平定信が和歌を添えた掛軸。斉匡は一橋家から田安家に入った人物で、松平定信は田安家に生まれ8代将軍吉宗の孫。

25 風呂場

26 化粧室の蛇口

27 中棟の全景 真中の大広間がある建物。

28 庭の飛び石 庭園は回遊式の日本庭園。

29 庭園の門 この門も文化財。

30 遠山稲荷 職人達は最高級の良材を使ってその腕を存分に発揮することが出来た。邸宅完成後の昭和19年、大工、左官達が遠山に感謝し、京都の伏見稲荷を勧進して分霊したと説明にあった。

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