埼玉県飯能市で町をあげて第10回目という「飯能ひな飾り展」が開かれている。メイン会場は市指定文化財の蔵造りの商家「店蔵絹甚(みせぐらきぬじん)」で、この他、市内各所でひな飾りを展示している。
飯能も江戸時代から絹産業が盛んで、江戸時代から続く商家の絹甚は生糸や蚕糸、絹織物などを扱った仲買問屋。幕末の横浜開港でさらに取引が増大したであろう。店主の名が「篠原甚蔵」で、その名前から「絹甚」と呼ばれた。店の裏の土蔵は江戸末期、店は明治37(1904)年の建築で、飯能を代表する蔵造りの商家建築である。柱や梁に太い欅を使い、往時の繁栄が偲ばれる。現在は茶会や種々の展示会などに使われているという。
近年は主婦の間で「吊るし雛」造りが盛んだとかで、座敷のひな壇の周囲にこれでもかとばかりにたくさんの吊るし雛がぶら下がっていた。
市内の個人宅や商店のウインドウにも数多くひな飾りがあった。写真を撮っていると店主が「どうぞ中にもありますよ」と戸を開けてくれた。なんと親切な町だろう。
昨年11月「武蔵国カメラ風土記34 高麗郷」で紹介した飯能市隣りの日高市「高麗郷古民家(旧新井家住宅)」もひな壇を飾っている。こちらもひな壇の周囲に数多くの吊るし雛が飾られていた。
撮影:平成27(2015)年2月19日
使用カメラ:ニコンD610, D5300. レンズ:FX16-35mm f/4G, DX18-300mm f/3.5-6.3G.
ISO感度:100, 400, 6400, 12800.
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